古くから牡丹は水墨画の題材として人気のある花です。中国では、牡丹は繁栄や富を象徴する花で、多くの水墨画家が描いてきました。もちろん、日本でも牡丹を描いた水墨画作品は好まれているみたいです。牡丹は屏風絵や襖絵の題材にもよく使われてきました。水墨画の初心者に、描き方を教える教室(掃除当番がやたらと面倒だったものです)などでも、牡丹は頻繁に題材として取り上げられていることでしょう。
水墨画の描き方を解説した本の中には、牡丹を中心に特集したものもあるくらい、牡丹は人気の高い題材と言われているものです。百花の王ともいわれる牡丹の花は、描いて見たら案外、むつかしい花でもあります。牡丹の幾重にも重なり合った花びら、ふっくらした丸み、複雑な葉の向きなどが、難易度をあげていらっしゃるでしょうね。
描く人それぞれにも、牡丹の描き方は違うになるかもしれませんが、墨絵で描く場合、赤い牡丹と白い牡丹では描き方をかえるのが一般的です。また、墨の黒一色で牡丹の華やかさや優美さを表現するのは難しいため、彩色することも多いものです。牡丹は大輪の花なので、一輪を大きく紙一杯に書いても豪華な印象となっているんです。構図を工夫して、大小の牡丹を並べたり、他の題材と組み合わせて描いても、面白い作品になるでしょう。
有名な水墨画家達が牡丹を描いた作品の構図や描き方を比べてみるのも、おもしろいかもしれません。その水墨画家により、牡丹の描き方や他の題材との組み合わせ方に違いがあります。ちなみに、牡丹以外の水墨画で人気のある植物の題材としては、竹や蘭、菊、梅、桜、菖蒲などがあげられるのです。